秋の夜長に悲しい想い
2007.10.21 22:18
こんばんわ。
ナレータの新市です。
少し不思議な体験をしたのでお届けします。
シックスセンスの強い方は読まないで下さい。

昨日10/20(土)、兵庫県有数の心霊スポット(らしい)、とある廃病院に行って参りました。
メンバーはやはり、あの大阪城の4人です(10/08の日記参照)。

兵庫県出身のMが車を出し、ドライバーにM、助手席にT、後部座席にSと僕という席順でした。
件の廃病院はちょっとした山奥の忘れられたような場所にあり、Mの情報によると、
戦時中は結核や肺炎患者の隔離施設として利用された経緯があるそうです。

定説によると、病院の前で車のエンジンを切ると、
真っ暗なロビーの明かりがつき、タンカをもった半透明の看護婦たちが駆け寄ってくるそうです。
今回のスポットを紹介してくれたMの幼馴染は、
病室の明かりが一斉につき、無数の人影が手を振っている姿を目撃したそうです。

はじめは意気揚揚としていた僕らですが、目的地まで15分ほどとなり、
人影の少ない風景が目立ち始めると、次第に口数も減っていきました。
後部座席の窓に取り付けられた交通安全の鈴だけが「チリんチリん」とさびしく響き、
車内には妙な緊迫感が漂っていました。

現場は想像以上に暗く、裏手の木々の陰に溶け込んだ病院は、もはや建物かどうかの識別もおぼつきません。
Mは玄関前ギリギリまで車を寄せ、静かにエンジンを落としました。
空気が凍りつき、背中の筋肉がこわ張り、魂が小さくなっていくのを感じました。ヤバい場所で必ず起きる生理現象です。
冬の冷たい空気で、背筋がピシッと伸びるあの感じをイメージしていただければ分かりやすいかと思います。

そして、信じ難い現象が起こりました。
4人同時に金縛りにかかってしまったのです。
「…あ……。」
「うぅ……。」
そんな声にならないうめきだけが車内に響きます。
実際は2分ほどだったでしょうが、僕には1時間に感じました。
突然、ばっと身体が動いたのです。と、同時に、
「うああああああああああああ」
「いぎ・・ごめんなさいいいい」
「はやくはやくはやく、殺されるぞおおお」
「わかってる、わかってるよおお、動けよーー」
前の2人が無我夢中で車を発進させようとしています。

(あれ、おかしいな・・・)
僕はそう思いました。

前の2人の怯え方が尋常でないのです。まるで何かに追われるかのように。
確かに怖かったけど、後部のSと僕は正気を失うほどではありませんでした。

「どうしたどうした?」
問いただすSと僕に構いもせず、車は急発進し、山道を転がり降りました。
僕の右隣にぶら下がる鈴が、「ジリんジリんジリん」とちぎれそうなほど回転し、
いかにすさまじいスピードであるかを物語っています。

助手席のTは「ううう、うっうっ」と怯え切って泣いています。
ドライバーのMは見開いた眼球で、ひたすら前方を睨みつけていました。

…………

コンビニに車を停め、熱いコーヒーを飲んで落ち着いた2人はゆっくり話し始めました。

ルームミラーに映ったそうです。
ロビーとは別の病棟の方から、人が横たわったタンカが車めがけてつっ走ってくるのを。
その瞬間に金縛りが解け、慌てて車を出した、というわけです。

2人の見た光景を想像するとゾっとしますが、いつもクールなTがあんなに女々しく泣きじゃくるとは…
というような話をしたとき、

「俺?泣いてないけど?」とT。
「じゃあMか」
「俺は運転でいっぱいだって。」とM
「てか、そんな声聞いてないぞ」とMとTは言い張りました。

・・・??確かに前の席から低い男のすすり泣きが聴こえたのですが・・・
低い声、ということで、いつもボソボソしゃべるTだと勝手に思い込んでいましたが・・・
僕とSは顔を見合わせました。

車内では誰もしゃべってはいません。エンジン音と、鈴の音、そして例の声だけです。
しかも一瞬ではなく、このコンビニまでのあいだの数分間ずっとです。聞き違えのはずがありません。
そう僕らが半分うろたえながら訴えると、Mは、

「鈴?て何?」

「俺の横の窓にある、交通安全の鈴だよ」と返す僕。

すると、Mは後部右座席のドアをあけ、ガラスに貼り付けたお守りと鈴を取って、これのことか?と見せました。

…………鈴じゃない……それはただの銅製の玉でした。僕とSはその場にへたり込みそうになりました。
本当に狙われていたのは前2人じゃなく、後ろの僕らだったのです。
ああ、きっとそのタンカの「人」は、鈴の付いた千羽鶴を贈られたたんだな……
贈り主を探して彷徨っているんだ。
はじめからずっと一緒にいたんだ、僕とSの間に……。


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