おじいちゃんとおばあちゃん
2007.10.9 0:18
今日は、おじいちゃんとおばあちゃんの話を少し・・・ BGMを掛けて、まったりと読んでください。
僕のおばあちゃんは5年ほど前に亡くなりました。 おじいちゃんの落ち込み様は、傍目にも痛々しいものでした。
旅行でもしてきたら?と、僕と従兄の何人かでお金を出し合い、2人が大好きだった京都旅行をプレゼントしたのです。
おじいちゃんは、おばあちゃんの小さな遺影を持って思い出の場所を歩いて回ったそうです。歩き疲れると、近くの定食屋に入り、向かいの席におばあちゃんの遺影を置き、語りかけるような感じで食事を取っていたそうです。
当然、周りの人間は白い目をおじいちゃんに向けます。店員でさえ、無愛想に注文を取り、乱暴に料理を置くとそそくさと厨房に引っ込んでいきます。
そんな寂しい食事が2日間続いたそうです。3日目、最終日に2人が一番気に入っていた、南禅寺でのお参りを済ませたおじいちゃんは、一区切りついた、静かな気持ちで京都駅へとタクシーを手配しようと電話しました。ところが、タクシーがすべて出払っていて、30分ほど時間がかかると言われたそうです。特に遅い時間でもないので、それならば、と京都駅で取るつもりだった昼ご飯を、南禅寺に前倒しすることにしました。
ちょうど目の前にあった、小さな定食屋に入り、いつものように遺影を置き、メニューに目を泳がしていると、20代後半ぐらいの女性店員が出てきました。店員は水とおしぼりを置くと、注文を取りました。遺影の存在に気づいた彼女は、一瞬おじいちゃんの顔を見て、そして他の店の店員と同じように、踵を返して厨房に引っ込んで行きました。
とはいえ、この3日間で慣れきった光景だったので、おじいちゃんは気にも留めず、遺影のおばあちゃんに『3日間お疲れ様』と語りかけていたそうです。
すると、
『大変失礼しました。お二人様でしたね』 と先ほどの女性店員が、深々と頭をさげ、水とおしぼりをもう1つ置いて行ったのです。
あまりの出来事に、おじいちゃんはしばらくあっけにとられました。帰りの電車の中で、あの女性店員の心遣いが忘れられず、涙が止まらなかったそうです。
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